自己紹介
Class of 2022の小澤です。TwitterやPodcast経由で知って下さっている方もいらっしゃるかもしれませんが、Japan Clubのwebsite上での露出は初めてなので、簡単に自己紹介させて頂きますと、男性/私費/商社→スタートアップで、現在Wharton MBAと併せ、同じくUniversity of PennsylvaniaのLauder Instituteで国際関係学とのDual Degreeプログラムに在学しています。
私の英語学習履歴
仰々しいタイトルになってしまいましたが、私の英語学習との出会いは、17歳の時に初めて海外旅行に行き、かつ大学一年時にはTOEIC315点という非常に恥ずかしい点数を叩き出したところからのスタートでした。幸い(?)、中高一貫校で、大学にも内部進学ができたので、勉強には全く興味がなく、悠々自適な大学生活を送っていました。大学一年時に部活を退部し、急きょ留学に行くことになり、私の果てしない英語学習の旅が始まったのですが、先日Podcastをリリースした際に、ある英会話学校の方から「英語力をどうやって伸ばしたか聞かせてほしい」とコンタクトを頂きました。私の英語力も発展途上であることは間違いありませんが、MBAに入学してから、英語力が原因でクラスについていけなかったり、同級生との会話を理解できなかったことは、他の純ドメの同級生に比べると少ないのではないかと思っています。アメリカ人にもコンペティティブと言われる業界の会社にも、「日本人であること」が全く価値にならない中、インターンシップのオファーを頂き、現時点でネイティブのマッチョ社会で生きていくことにも、あまり抵抗はありません(参考までに、先月リリースしたPodcastを付けておきます)。
一方で、大学一年生で留学した時には、相当苦労しました。日本人がいない環境に追い込もうと思い、アメリカの田舎に留学しましたが、アメリカ人はおろか、留学生の英語も全く理解できず、最初の2か月程度は非常に辛い経験もしました。私の英語力の推移については、このTwitterに掲載しましたが、一年の留学と、一年半英語環境に浸っていた訳ではない期間の後、TOEICは990点に到達し、英語で話す・書くことについても苦手意識は大きく低減しました。
特段、変わった勉強方法をしていた訳ではありませんが、遺伝の影響もあったのか(言語は遺伝子が約50%で、残りの50%が努力でカバーできる部分らしいです)1年の留学を経て、現在と遜色ないレベルまで伸ばすことができました。前置きが長くなりましたが、今後MBA留学を目指す、もしくは現地で通用する英語力を身に付けたい方に、プロフェッショナルに要求される最低限の英語力についてお話できればと思います。
定義
ここでいう「現地で通用する」は、「ネイティブばかりの環境で、与えられた情報を聞き、読み、処理した上で、自分の意見を発信するレベルが、自分の職業人としての能力を制限しないこと」とします。
なぜ英語力が必要か(言語→文化→仕事)
個人的な経験を振り返ってみると、言語→国・文化への理解→プロフェッショナルとしての素地という順番で、成長カーブが訪れた気がします。個人差はあるでしょうし、人生のどの段階でどこに行くか(仕事で赴任するのか、学校に通うのか)によって差異はあるでしょうが、周囲のノンネイティブに聞いていてみると、ほとんどの人が同じような成長カーブを辿っているように感じました。せっかくMBAに2千万以上の投資をする訳ですから、事前にできるだけ言語と文化への理解は進めておいた上で、スキルやネットワークの研鑽に励んだ方が、投資対効果が高いことは自明の理だと思います。勿論、これらをすっ飛ばして仕事を得る人も存在するでしょうが、個人的には、「英語がさー、、」と言い訳をする人で、海外で就職し、活躍されている人を、私は存じ上げません。
あなたはどのレベルですか
突然ですが、あなたの英語力はどの程度か、把握されていますでしょうか。多少英語を勉強して、海外に慣れてきた日本人にありがちなのが、自分の英語力を過信してしまい、中学生レベルの内容を、ダラダラと外国人アクセントで、授業中に話してしまうことです。勿論、ParticipationがGradeの一部として評価される以上、内容が無いものを堂々と語れる度胸も必要になりますし、日本人以外の外国人でも同じような行動をする人は少なくありません。ただし、現地就職でコンペティティブなPEやVCを目指す場合、ネイティブの中でも、エリートが集まる会社に幾多ものDisadvantage(ビザやローカルカルチャーの理解等)を抱えて就職活動する以上、面接でこれをしてしまうと、果てしなく可能性はゼロに近くなります。言語だけでなく、世の中の自分に対する評価を正しく認識し、愚直に研鑽を積むことが、何よりも大切な一手になります。
「あなたは本当に英語を学習してきたのか」
日本の義務教育課程で英語を学んだ人は、Reading > Writing > Listening >
Speakingの習熟度合いになると言われています。ほぼ日本国内で英語とフランス語を習得され、現在英語講師を務められていて、私が一方的に尊敬申し上げている森沢洋介氏によると、日本の英語教育は「音読、瞬間英作文が完全に欠落している」ことによって、「読める、書けるが、聞けないし、話せない」英語話者を生む原因になっているようです(表題の、半ば煽っているような言葉も彼の言葉です笑)。図のように、本来の言語機能である、話す、聞く、書く、読むをバランスよく習得することが、使える言語を学ぶ方法になります。辛いスコアメイクと面接を乗り越えたMBA受験生に何を言うか!と思われる方もいるかもしれませんが、現地でプロフェッショナルとして活躍する場合、想定Q/Aも手元になければ、初めて会う部下や上司の質問の傾向なんて知り得るはずもなく、実力だけで面接を乗り越える基礎力を既に持った人たちが、MBA中に、スキルやネットワークを身に付けた後、戦う場所がオフィスだと私も教えられました。
(画像「英語上達完全マップ」より)
英語運用能力を伸ばす
では、実際MBA入学前や受験前にどのような準備をすべきでしょうか。私も発展途上ながら、僭越にも一意見を述べさせて頂くと、圧倒的に純ドメ+日本の義務教育のみで英語を学んだ日本人に足りないと思うのは、1. 発音 2. 瞬間英作文力 3. 表現力の順だと考えています。
- 発音
まず、英語にはいくつ母音があるかご存知でしょうか?日本語には5つしかありませんが、英語には、26つもの母音があります。例えば、Hat/Hut/Hotは、日本語で言うと最初の2つは「ア」で、3つ目は「オ」ですが、どの程度口を開け、口の前・後・上・下どこで音を出すか認識できていますでしょうか。発音とは、因数分解していくと、「発音記号×音の繋がり×抑揚」で成るので、これらの「母音の発音ができていないのに、単語や文章の発音が正しくできるはずがない」ということになります。まずは、この本等を参考に、全ての音を理解してみてください。
https://www.amazon.co.jp/%E8%8B%B1%E8%AA%9E%E8%80%B3-%E6%94%B9%E8%A8%82%E3%83%BB%E6%96%B0CD%E7%89%88-%E7%99%BA%E9%9F%B3%E3%81%8C%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%82%8B%E3%81%A8%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%8B%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%81%8C%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%82%8B-%E6%9D%BE%E6%BE%A4%E5%96%9C%E5%A5%BD/dp/4048688634
- 瞬間英作文力
英語でとっさに質問された時に、日本語を英語に訳しながら話している人は、「英語回路」ができていない、と森沢氏は言います。ヨーロッパ系の言語の場合は、英語と日本語の文法や主語・述語の順列が似ている、もしくは同じものも存在するので、訳しながらでも自然に話せる人はいますが、日本語の場合は、これができていないと、「英語力があるのに話せない」という状態に陥る場合があり、英語で考え、英語で理解する為に、瞬間英作文と音読を通じて、英語回路を作っていくことが大切になります。
(英語と日本語の文法)
(英語とフィンランド語の文法)
- 表現力
WritingとSpeakingに共通する点ですが、その場や設問にあった表現を学ぶ機会が非常に少なく、結果としてあまりにもフォーマルであったり、幼稚な表現になってしまっている場合があります。(これは終わりの無い学びだと思いますが)日本でも同じように、場の温度感や雰囲気を察知し、適切な笑いや返しができることは、インフォーマルな場だけでなく、職場でも非常に大切なスキルだと思います。ヨーロッパ出身の一部の方は、アメリカのコメディやアニメを観て育つ場合もあり、小さい頃から多読、多聴を通じて表現を勉強していますが、日本人の場合は、自ら意識して取りにいかないと、大量にシチュエーションに合った表現に触れることは難しい環境にあることは間違いないと思います。
長くなりましたが、MBA中/後に海外で通用するプロフェッショナルに、必要最低限の英語運用能力についてでした。コメントお待ちしております。