今回は、同級生インタビューシリーズ第三弾をWharton MBA Class of 2021のMinopuが担当させて頂きました。今回のインタビューはReal Estate Clubで一緒に活動をしている、弁護士出身のNeil Waliです。学生時代に起業の経験もあり、昔から“ビジネス“に興味がありつつも、家族の勧めや手に職をつけるため弁護士の道へ進んだ彼。しかしながら、輝かしいキャリアからあえてリスクを取って、MBAへ来ることを決めました。 学生時代の経験、弁護士になるまでの道のり、弁護士時代の経験、Whartonでの活動について、話を聞きました。
※尚、この記事は実施したインタビューの内容を基に執筆したものです。従って、記載内容はWharton SchoolやWharton Japan Clubの公式見解を示すものではなく、あくまで質問者、回答者の個人的見解である点、ご留意ください。また、インタビューは英語で実施していますが、同級生同士の会話を日本語で再現するためにフランクな表現を使っております。
― Neil、今日は忙しいのに時間を取ってくれてありがとう。まずは、生い立ちから話してくれる?
もちろん。両親がインドからの移民で、CaliforniaのOrange Countyで生まれ育ち、第一世代としてUSC(University of Southern California)のCommunication MajorでEntertainment、Filmingを勉強した。大学入学してすぐにIMHQ(Internet Music Head Quarters)という会社を起業した。卒業してからも続けていたのだが、卒業1年後に家族からの勧めもあって、会社を畳んで、Duke UniversityのLaw School(JD)に進学した。Law School卒業後は、ニューヨークでSkaddenで弁護士を4年間経験し、Wharton MBAにきた。
― 大学卒業後に起業したんだね。どんな会社だったの?
学生時代に、Entertainmentを勉強していたこともあって、音楽関係で何かビジネスをできないかと思って模索していた時に、有名アーティストの曲でもアルバムに収録されていない曲がブログ、SNS等のインターネット上たくさんあることに気づいて、これをオンラインデータベースで管理したら面白いんじゃないかなと思って会社を立ち上げてみた。
― 起業して1年後にLaw Schoolに進学することになったけど、どういう経緯だったの?
一族が全員医者(両親、兄弟だけでなく叔父叔母も)だったこともあって、そもそも医学部に行ってほしいという家族の思いがあったのは事実。学部時代に医学部に行かないと決めたときから、家族からは何か手に職をつけてほしいということで、Law Schoolに行くことを決めた。これは、インド出身の人に多い、専門職重視の文化的な背景によるものだ。
― ただでさえきついのに、当初は自分から行きたいと思っていなかったLaw Schoolは大変だったでしょう。
冗談抜きで、大変だった。頭が良い人に囲まれて、正直最初の1週間で学費を取り返して帰りたいと思った。だけど、勉強が進むにつれ、いかに実用的で深い学問かと実感することもできたし、多くの友人にも恵まれて、スペインでの交換留学もでき、かつ初めてSouthern California / 親元を離れた生活だったこともあって本当に充実した3年間だった。
― 弁護士としての生活はどうだった?
アカデミックと実務でこんなに考え方や、進め方が違うのかとギャップに驚かされた。実際の授業では2,3分でさらっと解説される出来事を理解するのに実際は数日かかることもあって、最初は戸惑ったこともあったけど、Learning Curveがきつく、自分が成長していることを実感できた。ただ、3年経ったあたりから、もう一度リスクを取って何か別のことに挑戦したいと思い、MBAに応募した。
― ドラマのSuitsの題材となるようなNew Yorkのバリバリの弁護士だったから、機会費用も多いと思うけど、どうしてMBAに行こうと思ったの?
起業したことからもわかる通り、昔からビジネスそのものには強い興味があった。“ビジネス”という漠然とはしているけど、この領域で成功を勝ち取りたいと思っていた。家族に医者が多く、ビジネスに明るくないのを横で見ていたから、自分はこの領域では強みを持ちたいなと思ったことも要因だと思う。だから、DukeでもJD MBA(Law SchoolとMBAのダブルディグリー)を検討した。だけど、法律もビジネスもどちらも中途半端な修得になってしまうと感じたし、自分のネットワークを最大限広げられるとは思えなかったのでJDのみにした。
Skaddenで弁護士をしながら、MBAを検討し始めたときに、Skaddenで自分と同じく弁護士からWharton MBAを取りに行った人何人かに話を聞いた。話を聞く中で“MBAに行くということは給与も含めると$1 millionの機会費用が発生することだ”といわれた。数字を聞いたときは、戸惑った。しかし、トップMBAに行くことで金銭面だけでは語れない、何にも代えがたい経験が得られると言われ、決心することができた。そして、今まさに実感している。
― 実際にMBAに来てみてどう感じている?
まず一番に伝えたいのは、自分のやりたいこと何にでもチャレンジしてもよい、というマインドセットを身につけられたのが大きい。Whartonに入学してすぐに、自分がチャレンジしたいと思ったら応援してくれる土壌があることに気づき、感謝している。
それから、Whartonのブランドを通じたネットワークも素晴らしい。Real Estate ClubのNew York Trek(New Yorkの不動産会社を訪問するTrek)を企画した際に、普段であれば接することが難しいHigh ProfileのWharton のAlumniではもちろんのこと、WhartonのAlumniでなくても、快く面談をセッティングしてくれた時には、Whartonブランドの強さを実感した。
― 本当にリスクフリーで色々なことにチャレンジさせてくれる機会を提供してくれていると実感するよ。そういえば、Charity Showでオリジナルデザインのグッズを作っていたよね?どういうプロジェクトだったのか教えてくれる?
まさに今着ているのはプロトタイプのトレーナーだよ。笑
(プロトタイプを見せてくれるNeil)
入学してすぐにBookstoreでWharton グッズを見ていた時に、正直、値段高いしデザインがダサいなと感じたんだよね。だけど、愛校心はあるから買いたい、という複雑な気持ちになった。その時にCharity Showの開催者として、オリジナルデザインのWhartonグッズを作ろうと思い立った。(今年は残念ながらCOVIDのせいで中止になってしまった)チャリティファッションショーの開催者として、この新しいデザインのWhartonグッズを試したいと思うようになった。50セット限定でチャリティファッションショーのチケットとセットで販売したところ、トレーナーは完売したし、評判も上々だった。
― どうやってトレーナー作ったの?誰かとコラボしたの?
今回は、地場のメーカーや縫製をサポートしてくれる人と協働して作った。プロジェクトマネジメントの経験も積めていい経験になった。来年はRetail ClubのCo-Presidentにもなるので、ファッションショーを何とか実現したい。
― 卒業後の進路はどう考えているの?
インターンが残念ながらキャンセルになってしまったのだけれども、自分の立てた仮説を試しながら、卒業後の進路を見極めたい。不動産は強く興味を持っていて、本業でも副業でも何らかの形で関わっていきたいなと思っているけど、まだ模索している。
― 本当に長い間、インタビューに付き合ってくれてありがとう。
Applicantから何か質問があれば、遠慮なくつないでくれ。Happy to chat!
終わりに
今回のNeilとのインタビューを通じて、印象に残っているのは“自分のやりたいこと何にでもチャレンジしてもよい”というマインドセットをMBAが提供してくれた、という言葉でした。私も過去1年の振り返りをする中で、何を学び、何を培ったかを振り返ると、“何事にも興味を持ち、挑戦し、その挑戦を応援してくれるWhartonというコミュニティ”だったなと感じます。目に見えない資産をMBAがもたらしてくれていることに、感謝する日々です。